第5章:守る力(リスク管理)

お金の基本

――“減らさない”ことは、最強の資産運用である――

お金を増やすことは確かに大切です。
しかし、それと同じくらい、いや**それ以上に重要なのが「守る力」**です。

資産形成というと、どうしても
「いくら増やせるか」「どの投資が伸びるか」
といった“攻め”の話題が注目されがちです。

ですが、長い人生を通して本当に差がつくのは、

どれだけ増やせたかより、どれだけ減らさずに済んだか

ここです。

どれほど投資で成果を出していても、
病気、事故、失業、大きな支出が一度重なれば、
それまで積み上げてきた資産は一気に削られます。

だからこそ、
**攻めの投資よりも先に「守りの設計」**が必要なのです。

世界の資産家や富裕層が、
決して守りを軽視しないのは偶然ではありません。
資産額が大きいほど、
「増える幅」も「減る幅」も大きくなることを知っているからです。

この章では、

  • 保険と貯蓄の本当の役割
  • 分散がもたらす“壊れにくさ”
  • 老後資金を守る視点
  • インフレという見えない敵への備え

これらを、実体験も交えながら深掘りしていきます。


1. 保険・貯蓄・分散という「守りの三本柱」

資産を守る方法は、実は昔から大きく変わっていません。
結論から言えば、守りはこの三本柱です。

  1. 保険:人生が詰むレベルの事態に備える
  2. 貯蓄:短期的な出費に耐える
  3. 分散:投資リスクを抑えながら成長を取り込む

この3つが揃ってはじめて、
資産は“簡単には崩れない形”になります。


(1)保険は「数」ではなく「役割」で考える

最初に、はっきり言っておきたいことがあります。

保険は、たくさん入るものではありません

日本は世界的に見ても、
公的保障が非常に手厚い国です。

  • 高額療養費制度
  • 傷病手当金
  • 障害年金
  • 遺族年金

これらがすでに強力に機能しています。
そのため、多くの人は民間保険を“盛りすぎ”ています。

民間保険が本当に必要なのは、
**「起きたら人生が詰むレベルのリスク」**だけです。

  • 生命保険:家族の生活を守るため
  • 医療保険:短期的な入院費用の穴埋め
  • 就業不能保険:長期離脱への備え

独身であれば生命保険は不要な場合も多いですし、
子どもが独立すれば見直す選択も十分に合理的です。

重要なのは、
**「不安だから入る」のではなく、「生活を守るために入る」**という視点です。

この基準で見直すだけで、
毎月数千円〜1万円以上、固定費が下がるケースは珍しくありません。

私自身も、かつては
「保険に入っていること=大人の証」
のように思い込んでいました。

外貨建て保険、貯蓄型年金保険、
気づけば年間70万円以上を支払っていた時期もあります。

しかし、
「最初の数年はほとんど増えない」
「手数料が想像以上に重い」
という現実を知り、愕然としました。

さらに、実体験として
救急搬送された際、
条件を満たさず一切給付されなかったこともあります。

そのとき初めて、

入っていることと、役に立つことは別

だと痛感しました。

保険の正解は人それぞれですが、
「知るだけで判断は変わる」
これは間違いありません。


(2)貯蓄は「攻める前の防波堤」

投資を始める前に、
必ず用意しておきたいのが生活防衛資金です。

目安は、

  • 会社員:生活費の3〜6か月分
  • フリーランス・無職:1年分程度

生活防衛資金は、以下のために存在します。

  • 突然の失業
  • 家電の故障
  • 医療費・急な出費
  • 投資下落時の精神安定

これがないまま投資をすると、
下落局面で「売らざるを得ない」状況に陥ります。

それは最悪の選択です。

だから生活防衛資金は、
**攻める前に作る“守りの壁”**なのです。

私は別口座に隔離し、
年に一度記帳する程度で、普段は触れません。


(3)分散は「失敗しないための基本戦略」

分散とは、

ひとつのリスクに、すべてを預けないこと

よくある失敗例は、

  • 個別株一点集中
  • 日本だけ、米国だけ
  • 不動産だけ、金だけ、仮想通貨だけ……

現代投資で必要なのは、

  • 世界株式(国の分散)
  • 株・債券(資産タイプの分散)
  • 毎月積立(時間の分散)

株と債券がシーソーのように動くことで、
資産全体のブレは小さくなります。

特に積立て型インデックス投資は、
“失敗したくない人のための全種分散済みパック”
と言ってもよい最強の方法です。


2. “減らさない”は、最強の戦略

もし資産が50%減った場合、
元に戻すには100%のリターンが必要です。

これは紛れもない事実です。

暴落は必ず起きます。
約10年に一度の下落、
25〜30年に一度の大暴落。

守りができていれば、
暴落は恐怖ではなく「通過点」になります。

  • 生活防衛資金がある
  • 保険で万が一に備えてある
  • 投資は長期・分散前提
  • 積立だから安い時こそ買えている

こういう人は暴落すら“味方”になります。そして暴落後は必ず回復してきました。
だからこそ、“減らさない設計”は本当に最強なんです。


3. 老後資金を守るという視点

老後は「貯める」より
**「減らさず、長く使う」**ことが重要です。

年金と貯蓄だけで20~30年生活するのは、
現代の日本では当たり前になっています。

だから老後資金の守り方は
「資金を作る」と「使い方を管理する」の両輪です。

特に影響が大きいのは、

  • 住居費
  • 保険
  • 医療費

老後こそ、すべてを現金にすると
インフレに負けます。


4. インフレという静かな敵

老後に入ったらすべてを現金にする人がいますが、
これは実はあまり賢い選択とは言えません。

理由は簡単で、
現金はインフレに弱い から。

インフレは止められません。

だから対抗手段が必要です。

  • “使う分”=現金
  • “守る分”=債券・定期
  • “増やす分”=株式インデックス

この3層構造で持つのが理想です。

特に株式インデックスは、
インフレ耐性の高い資産です。


5. まとめ:守りは、人生を支える土台

お金は「増やすより、減らさない方がずっと難しくて重要」

全く派手さはありません。
でも、人生の安心はここで決まります。

守れる人ほど、最終的に資産を増やせる

お金は、
あなたが守らなければ、誰も守ってくれません。

だから今日から、
“減らさない仕組み”を整えていきましょう。