南鳥島レアアース泥は“夢の資源”か?それとも国家戦略か?|深海6,000m開発の現実と日本の未来

興味があるお金の話

2026年2月14日、歴史的なニュースがありました。
(JAMSTEC)が運用する地球深部探査船 が、水深約6,000メートルの海底からレアアース泥を連続的に引き上げることに成功し帰港したのです。

日本は本当に“資源大国”になれるのか。
それとも、これはまだ「夢の資源」に過ぎないのか。

今回は、南鳥島沖レアアース泥の現状と課題、関連企業、そして世界の動きを整理しながら、 個人的な考察も交えて冷静に解説していきます。


① 何が取れるのか? ― レアアース泥の正体

南鳥島沖の海底には、「レアアース(希土類)」を高濃度で含む泥が広範囲に堆積しています。

  • ジスプロシウム
  • テルビウム
  • イットリウム
  • ユウロピウム など

特にジスプロシウムやテルビウムは、電気自動車(EV)や風力発電の高性能モーターに不可欠な元素です。

最大の特徴は、陸上鉱山と比較して高濃度であること、そしてウラン・トリウムなどの放射性物質をほとんど含まない点です。 これは精製工程における環境リスク低減という大きな利点になります。


② 埋蔵量はどれくらいか?

推定資源量は約1,600万トンとされています。

特定元素に限れば、世界需要の数百年分に相当するとの試算もあります。 もし商業化できれば、日本の資源戦略は大きく変わる可能性があります。

ただし注意すべきは、「埋蔵量」と「採算が取れる量」は別問題という点です。


③ 最大の壁 ― 技術とコスト

今回の成功は、「6,000mから連続揚泥が可能である」ことを証明した技術実証段階です。

しかし本格商業化となると、課題は山積みです。

  • 約6kmのパイプを海中に維持する技術
  • 台風・海流の影響
  • 南鳥島から本土まで約1,900kmの輸送コスト
  • 1日3,500トン規模が必要とされる採算ライン

現在予定されている本格試掘は1日350トン規模。 まだ経済性検証フェーズと言えます。


④ 個人的考察:本当に“ホース方式”が最適なのか?

個人的に気になるのは、常時パイプで泥を吸い上げ続ける方式の難易度です。

深海6,000mという極限環境で、長距離パイプを安定稼働させ続けるのは相当な技術負荷がかかります。

もしかすると、将来的には「柔軟性のあるレールのような構造」を海中に設置し、 ゴンドラ方式で回収するような仕組みのほうが安定性や保守性の面で有利になる可能性もあるのではないかと感じています。

もちろん現時点では構想レベルの考えですが、 技術革新の余地はまだ大きい分野だと思います。


⑤ 関連企業と投資視点

このプロジェクトには、日本の複数企業が関わっています。

  • 東洋エンジニアリング(海中揚泥システム設計)
  • 石油資源開発(探査・事業化支援)
  • いであ(深海3D測量・環境調査)

ただし現段階では「技術実証段階」であり、業績への本格寄与は2030年代以降と見られます。 関連銘柄はテーマ株としてニュースに反応しやすいため、短期値動きには注意が必要です。


⑥ 世界の動き ― 脱中国依存

現在、世界はレアアースの対中依存リスクを強く意識しています。

はレアアース管理を国家戦略として強化。

や は同盟圏内での供給網構築を加速。

も重要原材料法により輸入依存の数値目標を設定しています。

さらに、自動車メーカー各社は「レアアースを使わないモーター」開発にも注力しており、 技術競争は多方向に進んでいます。


⑦ もし実現したら、日本はどう変わるか

仮に商業化が軌道に乗れば、 日本はエネルギー・資源安全保障の面で大きな転換点を迎える可能性があります。

最初の数年は莫大な投資と技術課題に直面するでしょう。 しかし5年後、10年後には、 「資源を持たない国」という前提が変わっているかもしれません。

このプロジェクトは単なる資源開発ではなく、 国家戦略・外交カード・産業基盤強化という複合的な意味を持っています。

日本企業には、ぜひこの分野で世界をリードしてほしいと強く思います。


■ 結論

南鳥島レアアース泥は、現時点では「夢の資源」と「現実の壁」が同居するプロジェクトです。

技術的には前進。
経済的には検証段階。
地政学的には極めて重要。

2030年代に向け、日本がどこまで本気で取り組めるのか。
今後も冷静に追いかけていきたいテーマです。